以下のように考えている僕にとって、MacBook Air 2018 Retina は現状、持ち歩き用に一番理想的なMacです。
・MacBook Proの「Touch Bar」が要らなすぎて震える
・「Touch ID」は欲しい
・Appleが欠陥を認めた第2世代までのバタフライキーボードは使いたくない
・12インチ型MacBookよりは画面・トラックパッドの広さを確保したい
・公称値ではなく、実際の電池持ちが5時間以上は欲しい
・そこそこパワーは欲しいけれど、重たいのはイヤ
とはいえ、本当にMacBook AIr 2018 Retina がプロのグラフィックデザイン・DTP用途や、ある程度重めなWebデザイン用途にどれくらい耐えられるのかは、僕自身気になるところ。
この記事では、MacBook Air 2018 Retina(RAM 16GB / ストレージ 512GB CTOモデル) を、主にグラフィック&Webデザイン用途(Photoshop、Dreamweaver、InDesign)、写真編集用途(Lightroom)で検証してみます。
MacBook Air 2018 Retinaをゴリゴリ使いたい方の参考になれば幸いです。(動画は専門外なので未検証です、すいません)
いきなり検証結果をさくっと見たい方はこちらをどうぞ。
目次
MacBook Air 2018 購入に至った経緯
毎日Macは持ち歩きたいけど、15インチ型MacBook Proは重い
メイン機として15インチ型MacBook Proを使用していますが、これを毎日持ち歩くのはまぁまぁしんどいです。バックパックと愛があれば持ち運べないこともないんだけど、出先でちょっとした修正なんかをしたいとき用に15インチは大げさなんですよね。
あと、15インチはTouch Barがあり、電源持ちが悪い事もありますね。
Touch Barは要らない、ホントに。
15インチ型 MacBook Pro(2018年モデル)を使っていて、Touch Barのトラブルにはしばしば遭遇してきました。
僕はPhotoshopを起動すると、かならずTouch Bar部分がファンクションキーとして機能するように設定しています(常時ファンクションキー表示)。
ですが、この状態で例えばPhotoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」を使おうとして「Shift + F5」キーを押そうとすると、Touch IDが明るさや音量を調整するモードに戻っていて、追加で「Fn」キーを押さないとファンクションキーとして機能しないという現象が起きていたり。
また、気づいたらTouch Bar部分がが真っ黒になっていて肝を冷やし、焦って再起動したら治っていてホッとした…なんて事もあります。
他にもTouch Barは物理キーボードでないため、ブラインドタッチで正確にF●キーを押すのが難しいというのも問題だし、Touch Bar搭載モデルは非搭載モデルと比べて明らかに電池持ちが悪いです。(体感では非搭載モデルの6~7割くらいしか電池が持たない印象)
さらにTouch Barを動かすためにmacOSとは別のOSが動いていて、OSのクラッシュなんかのトラブルリスクが無駄に上がってしまうのもいただけません。
こうして見てみると、改めてTouch Barの恩恵ってほぼ無いんですよね。良いなと思えたのは、大量の画像ファイルを左右にスワイプして一気に見れる機能くらいじゃないかなぁ…(苦笑)
“プロユース”を公言する「Touch Bar」が、逆に仕事を妨げるってどうなのって話です。
13インチ型MacBook ProのTouch Bar非搭載モデルはどうなの問題
13インチ型MacBook ProのTouch Bar非搭載モデルも、けっこうアリだなと一瞬迷っていた時期もあります。
同モデルの特徴は下記。
・2017年モデル。(1世代古い)
・物理ファンクションキーを搭載した唯一のMacBook Pro
・Touch Barは無いけれど、Touch IDも無い
・トラックパッドの広さはMacBook Air 2018よりもさらに広くて不満無し
・Appleが公式に欠陥を認めた第2世代バタフライキーボードを搭載
・MacBook Proでは唯一コア数が2で、中途半端
・本体重量はAirの1.24kgよりも100gくらい重たい1.35kg。
Touch IDはなくても我慢できる、Airも2コアなのでコア数も我慢できる、Airより100g重たいのもまぁ我慢できる、キーボードが欠陥有りとわかっていて選ぶのは…ちょっと無いなぁ、っていう感じ。
13インチ型MacBook ProのTouch Bar非搭載モデルはProマシンとしても、持ち歩き用のサブマシンとしても、色々中途半端。よって、僕の中では選択肢から消えていきました。
12インチ型MacBookはダメなの?問題
12インチ型MacBookの特徴は以下。
・唯一1kgを切る、MacBookの中で最軽量マシン
・Core i7まで盛れる
・不要なTouch Barもなし
・2017年モデル(1世代古い)
・Appleが公式に欠陥を認めた第2世代バタフライキーボードを搭載
・USB-Cポートが1つしかない。しかもAir 2018の半分の性能。
・画面が狭い
・トラックパッドが狭い
軽さが1kgを切っている唯一のMacBook、その振り切りっぷりはかなり好きです。
もちろんAppleストアでMacBook Air 2018を隣に置いて、何度も交互に触って検証を繰り返すくらいには検討してきました(笑)
2017年モデルの12インチ型MacBook特盛(Core i7 / 16GB)のベンチマークスコアと、MacBook Air 2018の16GBモデルのベンチマークスコアはほぼ同じですしね。
これは12インチ型 MacBook 2017年モデルのCTOモデル(i7/RAM 16GB)のGeekbench ベンチマークスコア。
こっちがMacBook Air 2018年モデルの下位モデル(i5/RAM 8GB/128GB)のGeekbench ベンチマークスコア。
そしてこちらがMacBook Air 2018年モデルのCTOモデル(i5/RAM 16GB/512GB)のGeekbench ベンチマークスコア。
12インチ型MacBookとMacBook Air 2018のCTOモデル同士では、両者の性能がかなり近いであろうことが分かります。
となると12インチ型MacBookの自分にとっての魅力は純粋に約300g軽いことくらい。
12インチ型MacBookの欠陥のある第2世代バタフライキーボードを敢えて選ぶ理由がなく、Touch IDがないこと、さらに画面の狭さ、トラックパッドの狭さ(縦横ともにMacBook Air 2018よりもわずかに狭いのですが、左右スワイプしたときに致命的にストレスを感じました)、そして性能の低いUSB-Cポートが1つという拡張性の無さ。
12インチ型MacBookも検討対象から外れていきました。
仮に2019年モデルのMacBookが、まるっとAir 2018のキーボード&トラックパッドと入れ替わってくれたり、USB-Cポートが2つになってくれたら、そのときは改めて12インチが急浮上する可能性もありますが。
こうして、現状唯一の持ち運びマシンとして、僕の選択肢に残ったのがMacBook Air 2018、という訳です。
MacBook Air 2018の検証結果
次はいよいよ検証結果を見ていきます。
今回検証するのは、Photoshop、Dreamweaver、InDesign、Lightroom。
Photoshop CC 2019で検証
テスト1:ファイルを開いたり、作業したり。
Photoshopの立ち上げから、下記のPSDファイル合計21個を同時に開き、全て開き切るまでのスピードを計測してみます。
1.レイヤー数30程度、テキスト多めのPSDファイル(17MB)×3
2.レイヤー数50程度、画像多めのPSDファイル(45MB)×3
3.レイヤー数90程度、画像多めのPSDファイル(107MB)×3
4.レイヤー数40程度、画像多めのPSDファイル(48MB)×3
5.レイヤー数40程度、小さ目の画像多めのPSDファイル(30MB)×3
6.レイヤー数120程度、シェイプとテキスト多めのPSDファイル(2MB)×3
7.レイヤー数70程度、シェイプが多めのPSDファイル(3MB)×3
結果は…約41秒。
また、実際に1〜7の7つのPSDファイルを開いたままそれぞれのファイルを編集したり、control+tabで別のタブ(ファイル)に移動したり戻ったりしながら、編集作業をしてみました。
テキスト入力時に矢印キーでカーソルを移動した際など若干もたつくときはあったものの、手のひらツールでの移動や、拡大縮小がもたつくことはほぼ無く、それなりに快適に作業できました。
テスト2:画像100個にバッチでアクションを適用して時間を計測。
<印刷物用のeps画像を一括で作成>
Photoshopで開いている画像をRGB→CMYKに変換して、解像度を350dpiにして別名保存でepsファイルとして保存する、というアクションを作成しました。
このアクションを、バッチ処理で1枚2〜3.5M程度のjpg写真ファイル100枚に適用。時間を計測してみます。
結果は、100枚のファイルを開ききるまでに31秒、100枚にバッチ処理を開始してから完了までに1分41秒でした。
途中でファンの音が大きくなって、キーボードのあたりも発熱して「頑張ってるな〜」という感じにはなるも、作業は問題なく完了。フリーズしたり、回転するちょっと待ってねマークが出てくる事もありませんでした。
スピードも十分実用レベルと言って良いでしょう。Air優秀!
ちなみに、2〜3.5M程度の写真300ファイルを開こうとすると流石に下記のエラーメッセージが出てPhotoshopが落ちました。
Page failed to load.
URL: file:///.file/id=XXXXXXX.XXXXXXX(14桁の数字)
Error: ERR_FILE_NOT_FOUND (-6)
ERR_FILE_NOT_FOUND
さすがに無茶させすぎでしたかね。よって、Photoshopで2〜3.5MBくらいの写真を一度にたくさん開くとしても、最大100枚くらいまでにしておいたほうが良さそう。
<Web用のjpg画像を一括で作成>
続いて、Webデザインやブログに使う用途を想定してアクションを作成。(レベル補正で明るく→横幅1500pxにして→Web用に保存(従来))
これを2〜3.5MB程度の写真100ファイルに適用して時間を計測してみました。
結果は…1分18秒!これも十分実用レベルですね。
Dreamweaver CC 2019で検証
Sublime TextやBrackets、Codaなどの人気テキストエディタに押され、重くて敬遠されがちだったDreamweaver。ここ数年でemmetを標準搭載したり、Bootstrapをテンプレートに組み込んできたりと、順当に使えるソフトになってきています。
そんなDreamweaverを使って、10ページ程度のサイトのコードの編集(HTML、CSS、JavaScript)を行います。
まず起動は…12秒。コーディングソフトとしては重めですが、重くて有名なDreamweaverなのでまぁこんなもんでしょうか。
使用感としては、たまに意味不明なタイミングでロードアイコンがくるくる回ることはありましたが、カーソルの移動、ソースコードの記述、emmetの展開などはいずれも遅延なくスムーズに行えました。
divタグ100個にclassを付与する置換なんかも1秒で完了しました。
MacBook Air 2018でのDreamweaverの挙動は安定感があり、問題ないと結論付けて良いでしょう。
InDesign CC 2019で検証
InDesignでも試してみました。最近はIllustratorよりもInDesignを使うことのほうが多くなっているので、個人的にもこの検証はやってみたかったんですよね。
よりパフォーマンスを出せるように、GPUの使用にチェックを入れています。(内臓GPUなのでそんなに差は出ないのかもしれませんが、一応)
結果は、
(1)データの重さ1GB、14ページの.inddファイルを、InDesignを起動して開くまでのスピード:44秒
(2)データの重さ2.68GB、7ページの.inddファイルを、InDesignを起動して開くまでのスピード:45秒経過したタイミングでファイルを開く事自体をキャンセルされる。
7ページで2.6GBくらいの.inddファイルを開こうとしたらアウトでした。
(1)の14ページで1GBの.inddファイルは問題なく開けたので、MacBook Air 2018 RetinaでInDesignを扱う際は、1GBぐらいのファイルを扱う分には問題ないと言えます。
手のひらツールでページ間を移動していく時や拡大縮小などは一瞬タイムラグがあったりもしますが、挙動が怪しいというほどでは無いと感じます。
画像を多用して、かつ等倍で張り込んでいない場合(実際の画像が大きいのに20%とかに縮小してリンクしている場合など)などはファイルサイズが大きくなりやすいので、使う人がデータの作り方に気を遣えばなんとかなるかな。
Lightroom CC 2019(Photoshop Lightroom CC 2019)で検証
最後にLightroomでも検証してみます。
Lightroomの起動は…12秒。
そこから、1枚25M前後のRAW画像(.CR2ファイル)画像を30枚開いてみます。全て画像を開ききるまでにかかった時間は10秒でした。
その写真30枚に、さらにプリセットを適用します(1つ目の設定を他の29画像も全選択後コピペして適用:3秒で完了)。
最後に「フルサイズ」で書き出しをしてみた結果は、2分20秒。書き出しの最中にやはり負荷がかかるのか、マシンのファンの音が大きく、キーボード周りの温度が高くなりました。
ファンが回り始めて書き出しスピードが遅くなるようなことはなく、無事完了。コーヒーでも飲んでいればすぐすぐ、カップラーメンができるよりは早かったです(笑)。
これも実用レベルと言えるでしょう。
以上の検証結果を踏まえて、結論といきたいと思います。
MacBook Air 2018 Retina を使って、幸せになれる人
出先でPSDファイルを作成・編集したいWebデザイナーやブロガー
Photoshopによるバッチ処理や、レイヤー数多めのPSDの編集作業は思った以上に快適にこなしてくれました。
今後も極端に重いPSDファイルを一度に何個も何個も開くような機会がないと分かっている人なら、MacBook Air 2018 Retinaをメイン機にしても問題ないでしょう。
出先で気軽にWebデザイン、コーディングをしたい人
Dreamweaverを使った10ページ程度のサイトのコーディング(HTML、CSS、JavaScript)、WordPress用にちょこっとPHPをいじる分には、全く問題なく使用可能でした。
重たい重たいと言われ続けてきたDreamweaverがこれだけ動けば、未検証ですがSublime Textなんかでも問題ないでしょう。
MacBook Air 2018 でのコーディングに関しては、3Dレンダリングとかの重たいプログラミングをするような人でなければ、マシンパワーを心配する必要はなさそう。
(むしろ画面の狭さのほうが問題かも。まぁこれは15インチのProでもそこまで差はないと思います。セルの多いEXCELの表、テキストエディタ、ブラウザをにらめっこしてコーディングする際などは、おとなしく24インチ以上のモニタを用意すればAirでも十分対応可能でしょう)
ブログ用途など、LightroomでRAWファイルを一度に30枚程度扱いたい人。
Lightroomでの色補正作業は軽快に行えました。RAWファイルの書き出しには少し時間がかかりますが、許容できないほど遅いわけでもなく、思ったより優秀な結果だったと言えます。
ポートレートやウェディングのカメラマンのような「動くモデルを1日に1000枚とかRAWで撮影して、その日のうちにあがりを数十枚〜100枚選定して加工も終わらせる」、みたいな用途では試せていませんが、ブロガーが一度に30ファイルくらいを同時に編集・書き出ししたい、みたいな用途であれば全く問題ないでしょう。
出先で10ページ以内程度のInDesign作業を週に数時間したい人。
モリサワフォントを全部インストールして、InDesignでページものの印刷物を作るといった用途もある程度はこなせました。
ファイルサイズが大きすぎると開けない模様。(1GBの.inddファイルは問題なく開け、作業もある程度サクサク)
注意点としては、InDesignの作業は「オーバープリントプレビュー」をONにするとさすがに動作が怪しいので、基本的にOFFで作業する必要はあるかなと思います。
MacBook Air 2018 Retina を使って、幸せになれない人
以下のような人は、大人しくもっとマシンパワーがあるMacを購入した方がよさげ。
毎日10ページ以上の重めのInDesignファイルを扱う人
毎日10ページ以上、1ファイルサイズ1GB以上のInDesignファイルを扱うような人は、大人しく4コア以上のMacBook Pro、Mac mini、Mac Pro+外部ディスプレイのスタイルでいくか、iMacを使ったほうが良いでしょう。
レイヤーパネル、リンクパネル、ページパネル、文字パネル、段落スタイルなどのたくさんのパネルを開きっぱなしでゴリゴリとページものの作業を快適にしようと思うと、基本的に24インチ以上の外部ディスプレイは必須だと思います。
例え15インチ型MacBook Proでも、パワー面は何とかなるとしても、画面が狭すぎます。
3D処理やディープラーニングのGPU演算など重めのプログラミングをする人
専門でないため詳しい解説はできませんが、プログラミングで3D処理をする知人の意見など考慮すると、大人しくMacBook ProのTouch Bar搭載モデル、できればGPU搭載の15インチモデルを購入した方が良さそう。
もしくはカスタマイズした4コア以上のMac mini、iMacやMac Proを購入した方が幸せになれるかもしれません。
toshiのひとこと。
MacBook Air 2018 Retinaは、思っていた以上に優秀で、一部の特殊な用途を除けば、ほとんどの人の用途に使用できるマシンと言えるでしょう。
Airを買おうか迷われていたら、参考になれば嬉しいです。